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症例紹介(根管治療)
2015年03月6日歯科医師
こんにちは。
今日は、感染根管処置(根の先に膿を取る治療)の治癒症例の紹介をします。
根管治療は、人間の目には見えない場所の治療で、症状や根管内に貼薬した薬剤の反応などを見ながら治療しなければならないので、場合によっては非常に難しく、また奥が深い治療でもあります。
【症例】
平成26年6月10日
右下の第一小臼歯と第二小臼歯の自発痛と咬合痛を主訴に御来院されました。
1年程前から右下で噛むと違和感があり、2日程前から噛めなくなってきた、とのことでした。
レントゲンを撮影してみると、第一小臼歯の根管の先に大きな黒い影(根尖病巣)を認めます。
また、第二小臼歯のクラウン(被せ)の間から虫歯ができています。虫歯が歯髄まで到達しているようでした。
第一小臼歯の根尖性歯周炎と、第二小臼歯の歯髄炎(クラウンの二次齲蝕による)と診断しました。
平成26年6月14日
被せ(クラウン)を外して根尖に溜まった膿にアプローチしていきます。
リーマーを使って、前回治療時に入れたガッタパーチャ(根管充填の材料)を除去して、根管内の細菌感染した部分の掻爬をしていきます。
平成26年6月24日
根管内部のガッタパーチャと細菌感染を起こした軟化象牙質(歯牙の細菌感染によって象牙質の機能を失ったもの)が除去できたあと、水酸化カルシウム製剤を貼薬し、根管および根尖の無菌化を図ります。
根の先に飛び出している白いものが水酸化カルシウム製剤です。
平成26年8月20日
根管内に水酸化カルシウム製剤を貼薬してから約1ヶ月半の間は、痛みや腫れなどの症状の経過を診つつ、他の歯の虫歯治療をしました。この一ヶ月半の間は咬合痛は認めませんでしたので、根管充填処置を行い、被せ(クラウン)をしました。
この時点でも根尖の黒い影はやや小さくなってるようでした。
平成27年2月20日
6ヶ月ぶりの定期検診に来ていただいた際に撮影させてもらったレントゲンです。
根尖の黒い影も、初診時や治療終了時に比べてもかなり小さくなって経過良好です。
咬合痛などの症状も認めないということでした。
《治療経過》
初診時と検診時
今後の経過観察が楽しみです。