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「一般歯科」と表記されている歯科は、何が“一般”なの?
2019年06月13日歯科医師
普段あまり意識しないことかもしれませんが、歯科医院の看板や入口に書かれている文言をよく見ると、「一般歯科」と書かれていることがあります。「一般」があるということは、「それ以外」があるということですが、他にどのような歯科があるのでしょうか。
目次
厚労省で制定される4つの標榜
実は歯科には「歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」という4つを標榜することが、厚生労働省(厚生省)で制定されており、この中の「歯科」が「一般歯科」と標榜されていることが多いようです。確かに「歯科」表記だけだと、一般の方からは歯科全般を表すような印象になってしまいそうです。
この紛らわしさを避けるために「一般歯科」という表記が広まったと思われます。
かつては歯科医院といえば、虫歯から入れ歯から歯周病まで、歯に関することすべての診療を行っていましたが、時代の流れとともに専門的な治療を行うようになった歯科医院が増えてきた結果、歯科も細分化され、「歯科」から新たに「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」が追加されることになったのです。
医療広告ガイドラインによって表記できる内容が変わった
これらの標榜科は、法律上は歯科医師であればどの科を標榜してもよい(保健所から実績を確認されることはあるが、必須となる資格は無い)ため、その歯科医院が何の治療を得意としているかは分かりません。
例えば歯周病の治療で一般歯科に行ってみたら、担当の医師は歯列矯正がメインだったということもありえます。
どうせ診てもらうなら、専門の歯科医師に担当してもらいたいのが人情ですが、以前は歯科医院のWEBサイトを見れば、各医院の専門分野や治療内容が詳しく書かれていたりしました。しかし2018年6月に改正された厚生労働省の「医療広告ガイドライン」によって、表記できる内容が大幅に絞られることになりました。
つまり歯科医院のWEBサイトで治療内容のPRは実質的にできなくなってしまったのです。
ちなみに「医療広告ガイドライン」は、過剰な宣伝や誇大表現による誘導から、患者様を保護するという観点から定められた有意義なガイドラインですので、決して悪いものではありません。
何を基準に歯科医院を選べばいい?
それでは、患者様は看板やWEBサイトに書かれた標榜科以外に、何を基準に歯科医院を選べばよいのでしょうか。
歯科医院選びの基準のひとつとしては「専門医資格」というものがあります。これは学会ごとに認定している専門医を、学会の申請を受けて厚生労働省が認可した資格で、2019年4月現在で「口腔外科専門医」「歯周病専門医」「歯科麻酔専門医」「小児歯科専門医」「歯科放射線専門医」の5つが認可されています。
これらの専門医はWEBサイトの医師紹介に資格として掲載することができます。中には一般人からすると専門の内容がわかりにくいものもありますが、「歯周病専門医」などは分かりやすいと思います。また、専門医資格の表記が無い場合は、その医師が所属している学会名に注目してみると、その医師が何を専門にしているのか分かるかもしれません。
まとめ
ここまで歯科医選びの基準をご紹介してきましたが、実際にその歯科医の腕が良いかどうかは別で、かかってみないと分からないものです。前述のような基準を参考にしつつ、最終的には歯科医院に出向いて、専門分野や治療方針を確認するなどして、患者様ご自身で確かめることが大切です。