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症例紹介(根管治療)
2015年10月28日歯科医師
こんにちは、歯科医師の小室です。
最近、本多先生や上谷先生がお忙しいようなので、今回は久しぶりに僕が書きます。今日は、最近行った根管治療の症例を紹介します。
今回の症例紹介は、根尖病巣(根尖性歯周炎)の治療です。この治療は感染根管処置と言います。根尖部になんらかの原因でできた膿の袋(嚢胞)に対して、感染源・感染歯質・膿などを取る治療です。
根尖部へのアプローチは基本的に根管から行いますので、まずは根管を解放します。根尖性歯周炎では慢性炎症が長期間にわたって起き続けるため、根管の石灰化や狭窄が起きていることが多く非常に難しい治療になることもあります。
今回の治療は、時間をかけてゆっくりと詰め物と感染歯質を取り除き、最終の詰め物をした症例です。
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①右下の第一大臼歯の近心根にレントゲン透化像を認めます。症状は咬んだときの違和感でした。被せを外して、根管内から膿の袋にアプローチしていきます。
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②根管から根尖へのアプローチには約3回の処置で行いました。リーマーという細長い器具を用いて、少しずつ少しずつ丁寧にあけていきます。根尖まで到達したあと、水酸化カルシウム製剤を貼薬し、症状が治まるまで経過観察をします。写真は水酸化カルシウムを入れたレントゲンです。
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③咬合痛、打診痛が治まったあと、根管内に感染源を残さないように、ガッタパーチャを用いて緊密に閉鎖します。根管内に死腔と呼ばれる空洞を残すと、そこからまた感染する可能性が高くなります。
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④治療開始の状態と比較すると、根管充填が上手く行っていることがわかります。
(このときはまだ遠心根はさわっていません)
もうひとつ症例を紹介させていただきます。この患者様は、約半年前に感染根管処置を完了し、最近定期検診に訪れてくれた患者様です。
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①右下の第一大臼歯(写真では左下に写ってます)の根尖部に大きな根尖病巣が確認できます。
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②同じように根管から根尖にアプローチし、水酸化カルシウム製剤で貼薬しました。薄く白く写っているのが水酸化カルシウムです。
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③症状が治まり、根管充填をしたあとのレントゲン写真です。この時にはまだ根尖に薄くはなっていますが透化像があります。自覚症状や他覚症状は消退し、根管からの膿や漿液も認めません。
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④根管充填から約半年後のレントゲン写真です。根尖病巣はかなり小さくなり、ほとんどなくなっていることがわかります。
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⑤初診時と比べると、もっとよくわかりますね!これは膿の袋によって溶かされた骨が、3〜6ヶ月のときを経て、骨再生が起きています。根管治療が上手く行った証拠です。
根管治療は、目に見えない部分の根尖にアプローチする非常に難しい治療です。根管内アプローチによって、患者様の自覚症状や口腔内の他覚症状によって根管内の状態を把握して治療しています。歯科医師側にも患者様側にも根気が必要な治療です。また早期発見・早期治療が非常に有効な治療法だと感じます。
歯科医師 小室