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歯周組織再生療法
2014年11月6日歯科医師
こんにちは。太原です。
僕は、大阪歯科大学 歯周病学講座に所属しています。
日本人の歯を失う、第1位は『歯周病』です。
歯周病を患うと、歯茎からの出血・排膿に始まり、歯槽骨の吸収により歯が浮いたり動揺したり、口臭の原因にもなります。
歯周病の治療は、主に、歯垢・歯石の除去、かみ合せの改善に咬合調整、生活習慣の改善、ブラッシング教育、現状維持に努めるメインテナンスが挙げられます。
特に歯石は、縁上歯石(歯茎の上に付着する歯石)と縁下歯石(歯茎の中に溜まる歯石)があり、後者の縁下歯石が歯周病の主な原因とされています。
縁下歯石は、超音波スケーリングやルートプレーニング、さらには歯周外科手術により除去します。
近年、歯周病治療のなかで注目を集めているのが、『歯周組織再生誘導法』です。
一度、歯周病で失った歯周組織の再生は困難とされてきましたが、医療の進歩により様々な材料や治療法が開発・研究され、歯周組織の再生も可能な時代になってきています。
GTR法(guided tissue regeneration)
歯周外科手術後、メンブレンを挿入することにより歯根膜組織を歯根面に選択的に誘導し、炎症により破壊された骨組織やセメント質などの硬組織を新生させ、喪失した結合組織性付着の回復はかる治療法である。
歯周組織再生誘導法(GTR法)に用いる材料として、『エムドゲインゲル』というものがあります。これは歯周治療における歯周組織再生環境を提供し、エナメルマトリックスタンパクにより正常なセメント質を誘導するものです。
術式は従来までの歯周外科手術とほぼ同じで、歯肉の切開・剥離し、縁下歯石や炎症により増殖した不良肉芽組織を除去した後、エムドゲインゲルを歯根面や骨面に付着させ、メンブレンにより歯槽骨ができるスペースをつくり、縫合します。
その後、3ヶ月に1度のペースでレントゲン診査や歯周ポケットの再評価を行い、経過観察をします。
しかしながら、症例によっては、適応にならないものもありますので、
ぜひ一度、太原までご相談ください。現在の状況や他の治療方法、治療の目標など、しっかりインフォームドコンセントさせていただきます。
歯周病は、歯科治療における最大の課題であると感じています。歯が動いてよく咬めない方や歯茎に不安がある方のご来院をお待ちしています。
やまぐち歯科クリニック
歯科医師 太原秀夫