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上顎のインプラント
2015年11月2日歯科医師
みなさん、こんにちは。院長の山口です。
いつも勤務医の先生方がブログを書いてくれていますが、今回は私の一番得意な分野でもあるインプラントの手術を解説します!
(桃太郎像 シャインマスカットが美味しい岡山へ)
先日、岡山まで林揚春先生主催の『上顎同アプローチ実習セミナー』に行って、さらなる最新技術と知識を手に入れて参りました。私自身、上顎洞挙上インプラントは過去にも多く症例をこなしていますが、今回は、私の過去の経験と岡山で習得した技術と知識を活かして、オペに望みます!
(実際のオペの様子)
患者様は、本多先生の担当患者様です。本多先生から事前診査やレントゲン検査、カウンセリングから治療方針をご提案させていただき、臼歯部の咬合安定を目指し、上顎左側臼歯部のブリッジを外し、インプラント治療を予定させていただきました。
(術前カウンセリングによって治療方針を決めます)
事前診査のレントゲン検査から、予定したインプラント部位は既存骨が8.0㎜程であり、約3.0㎜の上顎洞挙上手術を予定しました。また、右上と前歯の欠損部には、骨量や骨質による安全性と審美性の観点から、本多先生の判断でインプラントはしない方向で合意しました。
(初診時の上顎の口腔内写真)
(ブリッジを除去しステント用に型取り)
(模型上でステントを作製)
インプラント治療に必要な検査をします。インプラント手術において重要なポイントである埋入ポジショニングは、事前にステントを作製して埋入位置を決定します。ブリッジを除去し、ステント作製後、口腔内に装着してレントゲンやCT(3D)を撮影します。この検査によって精密な上顎洞の挙上(骨増生)量なども決定します。
(口腔内にステントを装着)
(ステント装着後のレントゲンCT検査)
手術当日、まずは健康状態を問診させていただきます。つぎに術野の清掃(スケーリング)を行い、浸潤麻酔によって術野に十分麻酔を効かせます。当院では痛みに配慮した電動麻酔器具と極細の麻酔針を使用しています。
(痛みに配慮した電動麻酔器具アネジェクト2)
インプラント窩の形成を行います。あらかじめ作製したステントによって、埋入位置をマーキングします。今回は、上顎洞挙上手術が必要だったため、オステオトームという器具を用いて上顎洞粘膜に傷がつかないように押し上げていきます。この器具は既存骨を上顎洞側に押し上げることによって、上顎洞に骨増生を図ります。骨面の形態が良好であったため、フラップレス(歯肉剥離しない)埋入方法を採用しています。これにより、さらに低侵襲インプラントが可能です。
(インプラント埋入位置に窩洞形成)
(完全自己血由来のフィブリンゲル・CGF)
押し上げたスペースに骨補填材を填入します。今回はCGF(完全自己血由来フィブリンゲル)を用いて補填材として使用します。CGFは組織再生の成長因子を多く含んでおり骨補填材として非常に有効です。
(埋入後の口腔内写真)
(埋入後のレントゲン写真)
CGFを填入後、インプラント体を埋入します。初期固定を意識して、形成したインプラント窩に埋入します。今回は3.75㎜×10㎜のインプラントフィクスチャを埋入しました。埋入後はCTで位置を確認し、施術終了です。今回は約40分のオペでした。
(埋入後のCT写真 綺麗に上顎洞が挙上されています)
当院では、上顎洞挙上手術や骨幅増生手術など難症例も誠意を持って対応しています。勤務医の先生方である本多先生や大原先生、上谷先生もインプラントの経験をお持ちになっており、どの先生もインプラントの診査や診断、相談が可能です。ぜひ一度ご相談ください。あなたに合った最高の治療方針をご提案させていただきます。
(今回の症例で使用したZimmer社のHAインプラント)
院長 山口勝道