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離乳のタイミング
2015年08月1日歯科衛生士
夏休みに入り、やまぐち歯科クリニックを訪れるお子様が多くなってきました。
そこで今日は離乳のタイミングについてお話しします。
①離乳と発育について
離乳は、お子様の咀嚼能力の発達と食育に影響を及ぼします。しっかりと咀嚼機能が発達しないと、顎骨の発育や身体の成長に影響を与えます。
母子健康手帳を見てみると、離乳完了は15ヶ月(1歳3か月)と記載されています。
しかし、食物を噛み潰すのに必要な乳臼歯は、第一乳臼歯が1歳4か月ごろから萌出し、噛み合わせが完成するのは1歳8か月ごろと言われています。ちなみに乳歯は8か月ごろから乳前歯が萌出し、乳歯の萌出完了は3歳ごろです。
奥歯で咀嚼することを学習するのは、1歳6ヶ月から3歳までの間と言われています。
離乳完了は1歳3か月から1歳6か月までには完了しておくのが望ましいでしょう。ただし、大人と同じような咀嚼能力を獲得するのは、乳歯萌出が完了し乳歯列が整う3歳ごろ以降となります。1歳6ヶ月頃に固いものや大人と同じものを与えると、噛まない、丸呑みをする、固いものが嫌い...などになることがあるので時期によって食べ物の種類を選んであげましょう。
乳歯は前から乳切歯・乳側切歯・乳犬歯・第一乳臼歯・第二乳臼歯と萌出します。奥歯で噛めるようになるのは第一乳臼歯が萌出してからです。
②正しい食習慣と心身の発育
幼児期はお子様の咀嚼能力と食習慣を育てるのに重要な時期でもあります。食べ物の食べやすさだけでなく、いろいろな種類の食べ物を工夫して調理し、味覚豊かで楽しい食事ができるお子様を育ててあげましょう。
食事の時間は健やかな心身の成長にも関わっています。お父さん、お母さんとともに安心した環境の中で、食事を一緒に味わうことで、美味しい・不味いだけでなく、甘い・辛い・苦い・酸っぱい・固い・柔らかいなどの味覚や食感を感じる能力が発達します。
楽しい食事の時間には、好き嫌いの主張や我慢して食べるという、自我の精神バランスを鍛える時間もあります。また家族や仲間と取る食事において、社会性や社交性をも身につけることができると言われています。
③離乳と虫歯
離乳のタイミングが遅れると、お子様の口腔内環境において、虫歯になりやすい環境を生んでしまいます。離乳ができていないお子様のお母様のほとんどは、「飲まないと寝てくれない」「子どもが欲しがるから」と言います。母乳やミルクは虫歯にならない...なんてことはありません。むしろ虫歯になりやすい飲み物でもあります。欲しがるからといって与えていると、それは間食と同じことなのです。また授乳しながら寝かしつけている方は、飲んだあとに、また寝たあとに歯磨きをさせている(している)方はまずいないでしょう。これが虫歯の原因になるのです。
(写真は、離乳できていない4歳の男児。上顎の乳前歯から第一乳臼歯までの歯冠部が虫歯で溶けてしまっています。歯髄に感染が起こり、永久歯への影響が懸念されます。また上顎骨の発育が遅くなり骨格にも影響を与えています。 )
④離乳と歯並び
離乳の時期が遅れたお子様は、離乳が完了したあとも、指しゃぶりが癖になる子が多いです。 指しゃぶりによって前歯の萌出が阻害され、前歯部の開口を起こすことがあります。また前歯が指によって前に押されて、上顎前突を招く恐れもあります。
離乳はお子様の様々なことに影響します。正しい時期に離乳を完了し、一緒に楽しく食事をして、心身や身体を育てるだけでなく、良い口腔内環境を作ってあげましょう!
歯科衛生士